HINAMIの「日々のおまつり」は

    必ず「作品」という実を結ぶ


    それをみんなで味わうことができる

HINAMI第四作

「パンドラの月」
(「おわらいお通夜」「ホシノお通夜座」改め)
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1012本の公募アイデアの中から、3度にわたる厳正な投票によって見事1位を獲得し、映画化が決定!
(アイデア公募についてはこちら

8月には追加オーディション(熊本、東京、大阪)を行います。日程と申込みは専用フォームから。


あらすじ: 2022年冬、「名経営者」との誉れ高い星野社長が心筋梗塞で急死。彼は自ら出資して「赤ちゃんポスト」を設立したことでも著名な人物だった。通夜が営まれ、専務の今田、運転手のチャムなど、社員の中でも特に社長とゆかりのある者たちが最後まで残る。そこに、リュウという学生服の中学生と、小夜子というホステス風の女性が加わる。それぞれに歩んできたかに見える彼らの人生は、2007年冬の月夜に一度交わっていた。それは、彼ら全員にとっての「死の夜」だった。以来15年、彼らはそれぞれにこの夜のことを引きずり続けていた。そして通夜の夜、星野社長の死に導かれるように、彼らの人生が再び交わる…。

作品について: 当地熊本にて先ごろ運用が開始された「こうのとりのゆりかご」(いわゆる「赤ちゃんポスト」)が日本全国ひいては全世界の注目を集め、「命」「子供」「親子」など人間にとって最も根源的なテーマについて問題を提起し続けております。そこで、熊本から映画を世界に向けて発信するHINAMIも、「赤ちゃんポスト」を本作品の中に盛り込み、提起されている問題に対する私たちなりの考えを示しつつ、更なる問題提起をしていきたく願っております。

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<「パンドラの月」東京大阪上映会ご感想>

東京上映会、良かったです。個人的にオーディション初参加した作品で、楽しみにしていました。当時の脚本から、ずいぶんと変わっていて「先が読めない」ところが楽しめました。これは、参加したからこその感想です。(ゆう様)

東京上映会、面白かったです。今回は社会派的な作品でしたね。「赤ちゃんポスト」に賛成の人も、反対の人も、あるいは関心のない人にとってもきっと十分考えさせられる、見応えのある映画だったのではないでしょうか。HINAMIは、恵まれない境遇、過去の過ちに苦悩しながら生きる人たちへの視線が優しいですね。いい映画を作っていると思います。次作もまた、期待しています。(さと蔵様)

東京、大阪上映会お疲れ様でした。当日仕事で行けなかった職場の同僚やバンドメンバーにも映画の事を話しましたらぜひ次回は観たいという声ばかりでした。僕自身も前作を見逃しているので過去の作品もDVDなどで出してもらいたいです!
まず今回の作品は本当に8日間で撮ったということにびっくりしました。映画羅生門の三者三様の回想シーンを思わせるような入り組んだ展開やより社会風刺を鋭くハードに突き詰めたリアリティな内容にググッと引き込まれてしまいました。そして作品の中での煙草の使い方がより味わいを深くしていたように感じました。
毎回思うのですがエンディング部では心のトゲを抜き取ってくれるかのような黒川さんらしさが存分に出ていたと思います。次回作が本当に本当に待ち遠しいです。(the cubridemens 矢野様)

大きな顔の司会者様
福島崇様
リヒコ様

他にも多数のご感想をいただきました。何よりの励みになります。本当にありがとうございます。



主要キャラ一覧
 イ)役柄は全て仮称
 ロ)年齢はオーディション受験者の対象年齢(≠役柄の年齢設定)

 ハ)キャラデザインは変更の可能性あり
 ニ)準主要キャラに子役が複数名(現在デザイン中。子供への機会創出はHINAMIの取り組みの一つです)

役柄

性別

年齢

概要

星野社長

40+

誰からも慕われている、よくできた経営者。「赤ちゃんポスト」を設立したことで全国的、全世界的な注目を浴びる。彼には、誰にも言えない過去がある。

今田

40+

ほぼ全社員から軽く見られている悲しい管理職。実は心根がとても優しく、とりわけ犬には目がないのだが、ほとんど誰も気づいてくれない。

チャム

20-40

古びたタバコの箱を四六時中触っているタイ人運転手。自分の意見を表に出さず、流されやすい性格。運転手になる前の来歴は全く不明。

リュウ

15-25

通夜に突然入ってきた、詰襟の少年。あいさつ、笑顔、言葉遣いなど、何もかもがよく出来すぎた「超模範生」。一方で隠れた凶暴性を秘めている。

未来

18-40

完璧な仕事ぶりの社長秘書。スケジュール管理から書類作成に至るまで、まったく穴がない秘書サイボーグ。心密かに社長を慕っている。

小夜子

18-40

どこからともなく現れた、崩れた女特有の色気漂う謎の女。通夜には全く場違いな服装と歯に衣着せぬ物言いが相まって、存在感が際立つ。




撮影予定時期: 200712月
※当初8月を予定しておりましたが、製作規模の拡大にともない、延期を決定いたしました。既にオーディションを受験された方々には大変ご迷惑をおかけしますが、より良い作品をつくるための苦渋の決断とご理解いただければ幸いです。なお、2008年2月23日のプレミア上映の予定には変更はございませんのであわせてお知らせ申しあげます。




「パンドラの月」脚本

-----公園 夕方(二○二二年)-----
三十歳前後の女性(以下、「母親」)が、ギリシャ神話の絵本のページをめくる。「パンドラの箱」の物語のページが開く。独り言のように、母親がそれを読む。
母親(朗読)「プロメテウスが神々の世界から火を盗んで人類に与えたことに、ゼウスは大変怒りました。そして、人類に災いをもたらすために、パンドラという女性に命を吹き込み、ひとつの箱を与えました。そして命じました。『その箱を決して開けてはならない』と。地上に降りたパンドラを見たエピメテウスは、兄のプロメテウスの忠告を聞かずに彼女と結婚しました。そしてある日、パンドラは箱を開けてしまいました。すると箱の中から、ありとあらゆる災いが飛び出しました。パンドラはあわてて箱を閉めました。箱の中に、たったひとつだけ残ったものがありました。それは、『希望』でした」
赤ん坊が大きな声で突然泣き出す声が聞こえてくる。カメラが引くと、絵本を手にした母親が木陰のベンチに座っており、彼女の目の前にはベビーカーが置いてある。中には赤ん坊が横たわっており、泣き声をあげている。絵本を脇に置き、赤ん坊を抱き上げる母親。ラファエロの聖母子画を思わせる。近くを、肩からかばんを提げ、詰襟の学生服を着た少年が左手を固く握り締めて足早に通過する。カメラ、彼をフォロー。少年は握り締めた左手を苦しげに胸に当てながら歩き続ける。赤ん坊の声が遠ざかっていく。タイトル「パンドラの月」、画面右下隅にフェードイン、アウト。

-----未来の部屋 夜(二○二二年)-----
テレビ画面に六十代の男性(後に星野と明らかになる。以下、「星野」)が大写しになっている。カメラに向かって一人語りかける、セルフポートレートのような映像である。星野は、平均よりも縦横ともにやや大きく、ソフトな印象であるにもかかわらず押し出しが強い。表情や所作から、思い詰めた様子と静かに腹の据わった感じが伝わってくる。身につけているのは、グレイのスーツにブルー系のネクタイ。シルバーの時計。彼はカメラに向かってぽつりと言う。
星野(テレビ画面)「これが、私がこの世に残す最後のメッセージだ」
それだけ言うと、星野は沈黙。数秒後、映像が暗転。テレビ番組ではなく、ビデオが流れていたことが分かる。テレビ画面の方を向き、ソファーに座っているのは三十歳前後の女性、未来(以下、「未来」)。放心状態。ベージュ基調のカラーレスメイクが施された顔に涙が一筋、二筋と伝って落ちる。仕事着と思しきベージュのスーツを着たまま。短めでさっぱりとしたスタイルの髪も若干乱れている。スーツに合わせてネイルもベージュ。靴もベージュ。スーツの下のインナーは白いシャツ。華奢な印象の腕時計、小粒ダイヤのピアス、そして小さいチャームがついたシルバーのネックレス。背筋を伸ばしてしっかり前を見ているものの、目は焦点が合っていない。手にはDVDのリモコンを握り締めている。何かにとりつかれたように、彼女は放心状態のままリモコンのボタンをランダムに押す。すると、映像が切れ切れに再生され、星野の口から「タイ」「赤ちゃんポスト」「十五年前」「月」「事故」などのキーワードらしきものが聞こえてくる。また、社長はたびたび拳を握ったまま左手で目をこすり、これは彼の癖であると思われる。未来がDVDのスイッチを切ると、テレビ画面にニュースが流れてくる。
アナウンサー「…次のニュースです。本日未明、『赤ちゃんの家』、いわゆる『赤ちゃんポスト』で知られる株式会社イターニティの代表取締役星野恒太郎さんが急性心不全で亡くなりました。六十五歳でした…」

-----リュウの部屋 夜(二○二二年)-----
テレビ画面に、すぐ前のニュースの続きが流れている。
アナウンサー「星野さんは十五年前に自ら資本を投じて『赤ちゃんの家』を設立したことで知られ、その後も本業の傍ら児童福祉の充実を訴え続けました。養護施設への訪問を日常的に行なったり、子供の人権についての啓発イベントの実行委員長を務めたりするなど、自ら率先して行動する地域リーダーとして、広く尊敬を集めました」
それを無表情なまま眺めている十五歳の少年リュウ(以下、「リュウ」)。顔は童顔で、いかにも「いい子」なのだが、それだけに一層無表情さが際立つ。机の上には、何枚もの花壇の写真が切り刻まれ、散乱している。机の脇の壁には、冒頭の場面で詰襟の少年が肩から提げていたかばんがかけてある。ニュース映像に赤ん坊のクリップが挿入されると、リュウは左手を握り締め、胸を押さえる。(※顔こそ明らかにならなかったが、冒頭の詰襟の少年はリュウと分かる)

-----星野の会社の駐車場 夜(二○二二年)-----
駐車場にとめられた(後に星野の社用車と明らかになる)高級国産車のカーナビに同じニュースの続きが流れている。
アナウンサー「星野さんは、いわゆる企業メセナの範疇を超えて地域に多大なる貢献をした人物として、県内のみならず全国的にも著名です。その精神は21世紀のあるべき経営者像として高く評価され、国外を含む多数のビジネス誌が特集記事を組み、近年は道徳の教科書にも星野さんの生き様が掲載されました」
運転席に座ってそれを眺めているのは四十歳前後の男性、チャム(以下、「チャム)。筋肉質で痩せた体躯。猫背で、片方の耳にいぶし銀のピアスをしている。チョッキに緩んだネクタイで、だらしない感じ。シャツの袖口や襟が汚れており、安っぽい青に近い紺色のズボンの丈は短い。生活能力に乏しい、独り者という風情。星野と対照的に押し出しが弱く、生まれついての頼りなさが浅黒い色のくたびれた顔つきからにじみ出ている。古びた百円ライターを自分でも気づかぬうちにもてあそびつつ、ニュースをみるチャム。感慨深げな様子でバックミラーに映った自分の顔を眺め、頬のあたりを手でゆっくりと触る。

-----今田の家 夜(二○二二年)-----
テレビ画面に同じニュースの続きが流れている。
アナウンサー「平均寿命にまだ十年以上も残した、六十五歳。県内外から、早すぎる死を悼む声が続々とあがっています」
ソファーに座ってそれを見ているのは五十代の男性、今田(以下、「今田」)。緩んだ中年体型を包むシャツには犬のプリントが施され、数え切れないほどのペット犬が彼にまとわりついている。テーブルの上に置いてある携帯電話のストラップ、コーヒーカップなどの小物は、全て犬をあしらったもの。テレビ画面に、星野の死を悼む各界からのコメント映像が映し出される。
星野ゆかりの人物A(後に、リュウの施設の「施設長」と分かる)「本当に、惜しい人を亡くしました…」
施設長は、半ば自分に酔いながら、涙を拭き拭き、言葉を続ける。
施設長「こんなにも子供たちを愛してくださった人はいません。まるで自分の子供であるかのように、ひょっとしたらそれ以上に、全ての子供に愛を注いでくださいました…」
テレビ画面を見ながら、今田は犬たちに「よしよし」などと語りかけながら、なでたりさすったり。時折目を合わせたりもして、「家族」という雰囲気。彼は子供が舐めるようなペロペロキャンディ(縁日で売ってあるような大きいサイズのものではなく、チュッパチャプスのようなあめ玉大のもの)を手に持ち、神妙な顔をしてときどき舐めながらニュースを見ている。背後の棚には、大量に買い込んだキャンディがかごに入れて整然と置いてある。

-----小夜子の勤めるクラブのトイレ 夜(二○二二年)-----
トイレの中で、携帯電話で話す三十歳前後の女性、小夜子(以下、「小夜子)。髪はロングの巻き毛。ざっくりとまとめたアップヘアで、後れ毛がだらしない感じ。体のラインが露わになる服を着ており、胸元も大きく開いている。長い爪にはネイルアートを施してあるものの、ところどころはげている。アクセサリーも大ぶり。アイラインが太目で、ラメやパールを多用した派手なメイクをしている。耳にもピアスの穴をいくつもあけており、大き目のものを着用している。サンダルはヒールが十センチ以上。携帯電話のストラップにも大ぶりのアクセサリーがぶら下がっている。電話の相手は、客と思しき男性。小夜子は酒が入っており、絡みつくようなしゃべり方。親しげに話しているにもかかわらず、一方ではハンドバッグの中を漁って何やら探している。
小夜子「分かってるって〜。は〜い。それじゃ明日ね〜。待ってま〜す。は〜い」
彼女がバッグの中から探していたのは何枚かの名刺。電話を切る頃にようやく探し当ててバッグから取り出し、そのうちの一枚を引っ張り出して番号を押す。
小夜子「もしもし〜、小夜子です〜。さっきはありがとうございました〜。初めてのお客さんとあんなにリラックスできたの、初めてです〜。また遊びに来てくださ〜い。待ってま〜す」
小夜子が電話を切ると、携帯のディスプレイにニュース速報が入る。「赤ちゃんポストの星野恒太郎氏死去。六十五歳」。小夜子はそのニュースにふと何かを思い出したように動きを止める。

-----小夜子の勤めるクラブのフロア 夜(二○二二年)-----
トイレのドアが開き、先ほど遠くを見つめていたときの表情とは打って変わって能天気な感じで、小夜子が勢いよく出てくる。
小夜子(ソファーに座っている年配の男性客に対して殊更に明るく、なれなれしく。実は空元気)「パパ、お待たせ〜」

-----小夜子の部屋 夜(二○二二年)-----
ドアが開き、小夜子が部屋に入ってくる。すぐ前の場面で客に対して愛想よく振舞っていたのと対照的に、くたびれた表情。空白を埋めるかのように、やたらと物にあふれた室内。ぬいぐるみ、ポスター、家電製品…。ベッドの上など、いたるところに服が落ちており、日常的に脱ぎ捨てたり、それをまた拾って着たりしていることをうかがわせる。帰ってくるなり、小夜子は自宅電話の留守録の再生ボタンを機械的に押す。「メッセージは、ありません」という機械音が冷たく響く。

-----孤児施設内のリュウの部屋 夜(二○二二年)-----
机の引き出しを開けるリュウ。中から、古びた箱を取り出す。音楽(追憶のテーマ)イン。箱は、財布か何かが入っていたと思われるサイズ。ブランドのロゴマーク入りで、洗練されたデザイン。ゴールドとターコイズブルーのバイカラーが特徴的。リュウは表情を変えず、身じろぎもせずに箱を凝視する。

-----小夜子の部屋 夜(二○二二年)-----
すぐ前の場面でリュウが机の引き出しを開けたように、収納ケースの引き出しを開ける小夜子。いくつか開けたところで、ダイレクトメールサイズの古びた封筒が出てくる。ためらった後、小夜子は封筒を手に取り、確かめるように、その表面に指を走らせる。

-----孤児施設のラウンジ 朝(二○二二年)-----
すぐ前の場面で小夜子が封筒の表面に指を走らせていたのと同様に、リュウが新聞のページを指でたどっている。音楽アウト。入れ替わって、リュウの周囲で幾人かの孤児が戯れたり、職員に注意されたりしているのが聞こえてくる。リュウが開いているのは「おくやみ」のページ。「星野恒太郎通夜/葬儀」の欄を見つけ、リュウは日時や住所を紙の切れ端に書き付ける。

-----路上 夜(二○二二年)-----
すぐ前の場面のメモ書きを手に歩く、詰襟姿のリュウ。ふと立ち止まり、夜空を見上げる。大きな満月が浮かんでいる。冬の寒空に、妖しい光を青々と放っている。

以下続く。